mienisi exclusive “MITTAN ガラ紡ロングコート”
寒さが突然姿を表した10月。
金木犀の香りも漂ってきて
いよいよ秋本番、と思いきや、、、
冬ですねこれは。
皆様どうぞ暖かくお過ごしくださいませ。
さて。
当店が一周年を迎えた今季2022AW。
少しだけ特別な衣服をご用意しました。
mienisi exclusive by MITTAN
“ガラ紡ロングコート”
もはや説明不要の雰囲気。
「ぜひ店頭でご体感ください」
…そんな一言で済んでしまいそうですが、
今回の別注品では色々とご無理をお願いしていまして
きちんとご紹介せねば作り手様に顔向けできない、というのが一つと
遠方にお住まいの方々にもお伝えしていきたいのが一つ。
全国にコアなファンが居るブランドですので
せっかくの衣服達を見定めていただくべく、今回のkakimonoとなります。
ではまず初めに、作り手様の簡単なご紹介を。
open当初からお取り扱いさせていただいております
“MITTAN(ミッタン)”
天然素材、天然染色の“粋”を見定めた作品展開と
普遍的で無駄の無い平面的なパターニング。
「現代の民族服の提案」という理念に基づき
展開されるタイムレスなコレクション。
当店でもご贔屓いただいているブランドの一つですが
気になられた方はこちらにも詳しく綴っておりますので、ぜひ。
今回のmienisi別注アイテム
“ガラ紡ロングコート”
その魅力を最大限お伝えすべく
ご紹介したい内容が大きく分けて「3つ」ございます。
一つひとつ紐解いていきましょう。
一つ目は『生地』について。
MITTANというブランドを語る上で
私の中ではどうしても避けられない素材がありました。
それが今回のmienisi別注に使用した
“OCガラ紡”です。
ガラ紡(がらぼう)とは
1876年に考案された日本の紡績機「ガラ紡機」で作られた素材の事。
その名の通り「ガラガラ」と大きな音を立てて回転しながら紡績する様から
“ガラ紡”と呼ばれるようになりました。
WEBで検索すると動画もいくつか出てきますので
よろしければ参考までにご覧ください。
この生地の何に感銘を受けたか。
一つは素材の選定方法にあります。
MITTANの下記説明文をご覧ください。
“オーガニックコットンの落ち綿を混ぜた綿をガラ紡で紡績した糸を緯糸に、
屑繭等、絹の製糸に使用できない部分を再度紡績した絹紡紬糸を経糸に使用”
そう、生地に使用されている「糸」。
それら全てが100%リサイクル&リユースの素材なのです。
MITTANのモノづくりの根幹は
ブランド立ち上げ当初から一貫しています。
曰く、
“短サイクル消費・大量廃棄を前提とした
アパレル産業の根幹的な問題である構造に対する弊社なりの反抗”
今で言うSDGsやサスティナブルという言葉が世に出る前から
MITTANというブランドは誕生し
その存在意義を確立されています。
「染め直し」や「修繕」といったMITTAN独自のアフターサービスや
裁断時に生地無駄を限りなく減らせる平面的なパターンを多用する事も同義。
そしてそれらは規模が大幅に拡大した今現在でも
何一つ変わらずに継続されています。
一言で片付ける事が失礼なぐらい
“凄い事”を実践されているメーカー様です。
加えて…
そんな意義や意味を差し置いたとしても
圧倒的に訴えかけてくるこの“生地感”
「山型斜文柄」のMITTANオリジナルガラ紡テキスタイル。
その名の通り連なる山脈のような斜文の織組織は
着物からコートまで様々な衣服に使用されてきた
伝統的な織柄。
しかし実際の山形斜文を見てみると
このMITTANの“OCガラ紡”の異質さが伝わるかと思います。
通常の山型社紋織りがこちら。
このように経糸と緯糸で色を変える事で
織柄を演出するのですが
MITTANではほぼ同色の糸で柄を潰しており、
一見では織組織が分からなくなるような仕掛けが成されています。
加えて、生地に使用されている“ガラ紡”の糸。
撚りも密度も甘く不均一な表情が
ボコボコとしたテクスチャーを生み
織組織の見極めはより困難となります。
生地好きの性として
やはりその生地の特性や織組織が何なのか
見て・触って、調べたくなりますよね。
だからこそ今回のガラ紡のような生地と出会った時、
ある種の意地悪さ(褒め言葉です)を秘めたその姿に
より惹かれてしまうのです。
そんな個性だらけの生地を
織り立てる機械もまた、非常に特異。
日本一の毛織物産地である愛知・一宮の
「ションヘル式織機」。
1日に数十メートルの生地しか織る事のできない
100年近い歴史を持つ貴重な織機を使用して
ゆっくりゆっくりと、丁寧に織り上げられています。
ガラ紡の荒密度で素朴な風合いが
ションヘル織機特有の上質で柔らかな質感と相成って
まるで手織りのような表情を魅せる生地に。
元々ある素材や織組織を組み合わせて
全く新しいモノに昇華させる。
まさにオリジナルテキスタイルと呼ぶにふさわしい生地ではないでしょうか。
さて…生地のご紹介だけでも
かなり長々とお話ししてしまいましたが
二つ目の魅力《染色》についても
mienisiとしては詳細を語らなければなりません。
このスペシャルなガラ紡コートの染色を依頼したのは
mienisiでは和紙布や靴下でお馴染み
“yutakanairo”の小渕裕氏。
やはり今回も独自の技法によって
唯一無二の色味に導いてくださいました。
小渕さんについてはこちらをご覧くださいね。
今回のOCガラ紡生地は
経と緯で糸が異なるテキスタイル。
だからこそ小渕さんが得意とする
顔料染めの技法と風合いがより引き立つと
私は直感したのです。
異なる素材が織り込まれた生地を顔料染めすると
糸染まりに僅かな“差異”が生まれます。
今回の生地は「綿」と「絹」の交差織り。
一般的に綿は浅く、絹は深く染まるため
必然的にそれぞれが異なる発色を遂げていきます。
発色の異なる糸が
複雑に絡み合う織組織によって
色味をより複雑化し、奥ゆかしい表情に。
更には顔料染めによる美しいムラ感が
上記の複雑な色味と合間見えています。
また小渕氏の染色は
生地の表情をある種変化させる「オーバーダイ(製品染)」。
ガラ紡特有のボコボコとした生地感がより引き立ち
それはもう惹き込まれるような表情に。。。
もう、この部分に関しては言葉だけでは表現しきれませんね。
写真の通り、とにかくイイ塩梅で仕上がってますよ。
お作りいただいたのは全2色。
褪せた茶のような色 “緑土”
100%ベンガラで染められたものです。
小渕さんが作るベンガラの茶色の中でも
個人的にとても好きな色を選ばせていただきました。
その名の通り僅かな緑味が垣間見える、稀有な色。
もう一つの色 “煤×緑土”
元々は緑土のみの展開となるはずが
小渕さんの粋な計らいで
特別に生まれたのがこの色。
上記の緑土を染色後、
更に煤染めを重ねて仕上げたものです。
墨染めの原料ともなる煤の色が
緑土を深くフェードさせてゆき
より退廃的な色味を魅せてくれます。
どちらも甲乙つけ難いお色。
どうぞ直感で選ばれてください。
さて…
長々と書き綴ってしまいましたが
いよいよ最後の「形」について。
元々、MITTANで展開されている型として
“ガラ紡コート”というモデルが存在します。
今回のmienisi別注品も
細かい仕様はほとんどそれと同じなのですが、
このモデルの名称はガラ紡“ロング”コート
さて何が違うのかといえば
通常のガラ紡コートの丈を+10cm伸ばした
特別仕様のロングコートとなっています。
1店舗限定の、特別な別注品。
よりmienisiらしい雰囲気に落とし込むべく
MITTANのデザイナー・三谷さんに
無理を承知でお願いして完成に至った仕様です。
MITTANらしい民族衣装を元にしたデザインと
平面的で無駄の無いパターン。
もちろん写真の通り男女兼用です。
コートのシルエットは
JK-03(ガラ紡ジャケット)や
JK-07(ガラ紡ロングジャケット)に比べて
身幅などのバランスを全体的に少しゆったりと取っています。
リバーシブルでも着用可能で
大きめのパッチポケットや縫い合わせを
inにもoutにも、その日の気分で変える事ができます。
ボタンなどは一切付いておらず
付属する同素材の腰紐を使って締めていただく仕様。
締め方によって、羽織のようにも、ガウンのようにも。
ざっくりと羽織るだけで確かな存在感を放ちます。
タートル・ハイネックのインナーや
ストールとの掛け合わせも、また良き。
MITTANの他アイテム、
特にウールやカシミヤのタートルネックニットとの相性は抜群です。
是非お手持ちの物と合わせてみてくださいね。
最後に、、、
上記で似た写真を4枚連ねましたが
それにも理由があります。
モデルは同じまま、それぞれのお色で「着用サイズ」を変えてみました。
・男性(175cm)
緑土:サイズ2
煤×緑土:サイズ3
・女性(158cm)
緑土:サイズ1
煤×緑土:サイズ2
MITTANの特徴である平面的なパターンは
「型」にはまらないサイズ選びができる衣です。
上記写真やonlineページの写真をご参考いただき
自分が好みのシルエットをお選びくださいませ。
2022AW mienisi exclusive
“MITTAM ガラ紡ロングコート”
すでに店頭では販売を開始しておりまして
各色・各サイズが残り1着ずつのご提案となります。
三者を繋いだmienisiならではの別注品。
どうぞじっくりとお楽しみくださいませ。
ガラ紡ロングコート・緑土はこちらへ
ガラ紡ロングコート・緑土×煤はこちらへ
MITTAN(ミッタン)の全アイテムはこちらからご覧いただけます。