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LENSE −カタチの探求者 Ⅱ−

前回のお話:1

 

新たにお取り扱いさせていただきます

“LENSE(レンズ)”

前回に引き続き今回も

各モデル毎のご紹介となります。

今回も長々と綴ってしまったので

早速まいりましょう。

“Code Coat Wo/Li Weather Cloth”

 

LENSEを代表するモデル、

そう表しても過言ではないでしょう。

ブランドのエッセンスが

ミニマルに集約された一着。

前身頃に縫い付けられたバックルが

一瞬タイロッケンコートを彷彿させますが

実際には一から型紙を起こした

LENSEオリジナルのコート。

思わずため息が溢れる美しき流線、その正体は

やはり正確無比なパターンメイキングと

優秀なテキスタイルの一助によるもの。

 

 

腰から裾に向かって開いていく

Aラインのフレアコート。

しかし付属する2本のコードによって

衣服は“可変性”を持ち合わせる事となります。

 

 

1つ目のコードは

背中から尻尾のように生え出ています。

真ん中から伸びて、右に、左に。

着る人の意思が

着る服のカタチを左右する。

まるで生き物みたいですね。

 

 

このコードは様々な用途を想像させます。

右や左から前に持ってきて

ギュッとタイトに絞っても良いし

ゆるめにフワッとさせるのも素敵です。

何もせずにアシンメトリーに垂らして

背中で揺れ動かす日もあるかもですね。

可変性とは個性の演出。

思い想いに愛でていただく事こそ

このコートの本望でもあります。

 

 

更に。

ベルトやバックルには

穴やピンが取り付けられていません。

再現性を無くす事で

身体や心が発する“なんとなく”が

その日の位置を決定する要因となります。

全ての答えを衣服に持たせるのではなく

身に纏う人に委ねたい。

そんな職人気質なデザイナーらしい意匠が

細部にまで反映されています。

 

 

そしてもう1本のコード。

それは足元に潜んでいます。

これを絞ってみると、

 

 

想像もできない変化が起こります。

 

 

左右非対称のバルーン風なシルエット。

横から見た膨らみがとても異質、もとい素敵です。

足元のコードは取り外しも自在ですので

必要無い時は外してしまっても構いません。

絞るならスカートではなくパンツかな、と

着替え直して撮影しています。

 

 

例え、コードやボタンを全て使わなかったとしても

やはりサマになる。

何にも囚われないこの子を

如何様に着こなすか。

考えただけでワクワクしてきませんか?

 

 

生地のご紹介も忘れてはなりません。

“ウールリネンウェザークロス”

経糸にウール、緯糸にリネンを配して

限界まで高密度に織られた生地。

ウェザークロスとは悪天候にも耐えうる

丈夫な織物を総称する言葉。

それに“ワッシャー仕上げ”を施す事で

洗いざらしのような自然な風合いを付与しています。

波打つようなテクスチャーと上品な光沢感があり

着用のシワが目立たず

色落ちに強いのも特徴的。

通年使いに適した万能生地です。

 

しかし何と言ってもその厚みが絶妙で

着用時の身軽さと心地良いハリ感を共存させています。

これがシルエットを“持続的”に引き立てる肝となります。

 

 

Code Coatの始まりは

レディース服の要とも言えるダーツやギャザーを

一切排除する試みでした。

“必要な要素をどれだけ無くせるか”

デザイナーが影響を受けたという

近代建築の巨匠「ミースファンデルローエ」

その存在が見え隠れします。

“God is in the detail”

“Less is more”

秀逸なパターンと2本のベルトコードで

こんなにも自由で優雅な一着を仕立て上げる。

やはり只者ではありません。

 

 

さて。いよいよ。

最後のご紹介です。

今回買い付けた中で

唯一男性もお召しいただける一着。

故に個人的には特に気になっています。

“Bau Trousers Wo/Li Weather Cloth

 

股上を深く取ったサルエルパンツ…というより、

スカートや袴に近い生地量を使用したトラウザーズ。

ここまでの生地量を取りつつ

そうとは見せないすっきりとした立ち姿は

ただ美しいという一言では何か足りません。

やはりこのBau trousersにも

相応に“何か”が潜みます。

 

 

顕著に現れるのは、横姿。

前や後のシルエットからは想像もできない

カクカクしい非対称のフォルム。

“まるで建築物のようだ”

ふと、そんな言葉が頭をよぎります。

動く事でカタチは変化するので

立ち止まった時にだけ

この構造体は姿を表します。

衣服という“可変性”の探求。

デザイナーの裏側を滲ませます。

 

 

その発想は元より

“一体どうなっているのだろう?”

目線は自然と後ろへ。

そこには両サイドに深々と入れられた

大きなタックがありました。

いや、タックというよりも

余らせた生地を摘んで寄せたような

不定形の膨らみ。

 

 

このパターンがやはり凄かった。

サルエルパンツがお好きな方はピンと来るはずですが

足を開いた時に股布が邪魔する、あの現象。

私自身、何度転びかけたか分かりません。

しかしLENSEのBau Trousersは

それを驚くほど解消しています。

たっぷりの生地使いが可動域を広げ

軽快な足捌きを可能に。

そしてその生地使いが上記の横姿、

つまりデザインにも繋がっています。

果たしてデザイナーは

どこまで計算しているのでしょう。

個性とリアリティの両立。

様々な葛藤を経てようやく

カタチになった衣服だと、私は思います。

 

 

こちらはメンズの着用。

使用されている生地は

上記Code Coatと同じ

“ウールリネンウェザークロス”

程よい厚みの通年素材が

ここでもシルエットを際立てています。

 

こちらも男性着用ですが

私の立ち方が美しくなかったので

構造体が現れていませんね。

後日もう一度履き直したら

カクカクしい横姿を捉える事ができました。

こういうシルエットのパンツ、

久しく履いていなかったのですが

このBau trousersには強く引き寄せられました。

シャツとの合わせもいいですが

ざっくりなプルオーバーやニットを持ってきて

足元はブーツ、ですかね。

新しいブランドや衣服との出会いは

新しいスタイリングとの出会いでもあります。

その作品故に味わえる“何か”。

それがmienisiで取り扱う衣服達には

必ず存在しています。

ぜひ、直接ご体感いただける事を願っております。

 

LENSEの華麗な衣服達

いかがでしたでしょうか。

最後にとても残念なお知らせを、、、

なんとkakimonoを綴っている間に

ほとんど店頭で売れてしまい

残るはBau Trousersが1着のみとなります。

ここまでお膳立てしながら申し訳ございません。

ですがもちろん、これからも引き続いてゆく衣服達ですので

想いはぜひ次回を馳せて。

カタチの可能性を探求するLENSEの作品群。

これからどうぞよしなに。

 

※近日中にonline storeへ更新予定ですが

お気になられた方は遠慮無くお問合せくださいませ。

 

 

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