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ISTINTO Order Exhibition –23AW– ①

“2023AW ISTINTO Order Exhibition”

Ⅰ : 店頭受注会
4.29〜5.21(木曜定休)

Ⅱ : online受注会
5.22〜5.31(仮予定)

今年のGWもやはりこのお人(革)。

革を染める人

“ISTINTO(イスティント)”

今回は通常の店頭受注に加えて

online受注会を延長開催する二部構成です。

新たな“革”と“色”、そして“型”を取り揃え

前回を遥かに凌ぐスケールで皆様をお迎え致します。

今年もどうぞよしなに。

 

「皮」と「革」。

素材に刻まれた『いのちの証』を

あるがまま継承し表現するISTINTOのモノづくり。

去年のkakimonoでその詳細を書き綴っております。

ご興味がございましたらお目通しください。

 

さて、昨年の十月頃ですかね。

ISTINTOの作り手である熊藤氏から

待ちに待った報告がありました。

“新たな革がご用意できました”

と。

昨年の受注会後に

私がお願いしていた事の一つ。

それを見事達成してくれたようです。

そんな連絡、ワクワクしないわけがない。

私はすぐに予定を確保し

長野に向けて車を走らせるのでした。

今回のkakimonoは、そんな話。

北アルプスの雄大な山々が青空に広がる

長野県安曇野市。

この清々しい情景には「水」が起因しています。

山から零れ落ちた美しい水を運ぶ「水路」が

市内にくまなく整えられており

お米やわさびなどの名産地でもあります。

今回はちゃっかりお蕎麦もいただいてきましたが

料理はもちろん、ただの飲料水がとてつもなく美味しくて吃驚。

空気も透き通っていて

居るだけで安らぎを覚えるような

清らかな場所。

そんな地で育まれた感性が

ISTINTOの革小物達にはそこかしこと宿っています。

 

樹齢350年を超える大きなイチョウの木が

彼のアトリエの目印。

残念ながら前日の強雨で

葉のほとんどが落ちてしまっていたのですが

イチョウの絨毯とはこれまた素敵。

 

去年伺った時よりも

少し整った様子のアトリエ。

一部を半展示スペースにしたそうです。

しかし相変わらないのが

至る所にある、革。

彼の身体の一部のような

大切な大切な素材。

無造作に置かれているようで

1つ1つと丁寧に向き合っている様子が見て取れました。

 

まずは軽くお互いの近況報告から。

気軽に行ける距離ではないですからねー。

当日、自分の体調が思わしくなかったせいで

肝心な話以外ほとんど記憶にありません。。。

 

閑話休題。

本題であるレザーの登場です。

前回の企画展後

私が彼にお願いした事は2つ

「新革」と「新型」。

特に素材は彼のモノづくりの根幹。

去年の企画展を超える為には

ある意味去年の「革」を超えなくてはなりません。

そして今回、

彼はどちらも見事にやってのけました。

“Double Shoulder/フルベジタブルタンニン鞣し”

見た瞬間、震えました。

フルベジタブルタンニン鞣しの

ダブルショルダー(牛革)。

もちろん、もっとも手間と時間がかかる

「ピット槽鞣し」で作られています。

 

まず、この革は前回と

「タンナー(皮を革へと鞣すメーカー)」

から異なります。

(正確に言うと今までの革もほぼ全てタンナーが違うのが・・・彼の凄いところ)

新しい素材を手に入れるべく

彼は新たなタンナーまでも開拓してくれたようです。

去年綴った通り

ISTINTOは「自ら革を染色する作り手」。

一般的なレザークラフターのほとんどは

「既成革」を取り扱う「革問屋」に行き

「革を仕入れる」事でモノづくりがスタートします。

しかし彼の場合、初めに行なうのは

「タンナーとのコミュニケーション」。

自身の染色表現を最も理想の状態へと導く為

鞣しから仕上げまでの全工程を再設計し

「特注のヌメ革」をタンナーと共に創り上げていきます。

もちろん、タンナーも暇ではありません。

たった一人でモノづくりを行なうレザークラフターなど

相手にしてもらえないのが当たり前。

しかしそれこそがISTINTO・熊藤氏の特異点。

皮と革に対する知識と情熱を持ち合わせているからこそ

「革の特注」が成り立つのです。

 

更に。

特注の次は「試染色」。

染色によって革は大きく伸び縮みするので

それを作品に落とし込むのは

また一段と骨の折れる作業です。

つまり彼の場合

革を一つ増やすとは決死の作業。

その努力の甲斐あってか

ついに形となったのがこちら。

この、迫力です。

ダブルショルダーとは両肩の部位。

そのピット槽鞣しを行なう

国内唯一のタンナーと取引しています。

筋繊維が密で、かつ、生きている時に稼働が多い部位なので

とても丈夫な上に柔軟性を秘めています。

また特徴的なのが「トラ」と呼ばれる

縞模様のような力強いシボ。

このトラによって広がる陰影が

ISTINTOの創る色に奥行きを生み

引き込まれるような存在感へと

作品を昇華させていきます。

一つひとつがまるで生きているかのような

生命力に溢れた部位

それが“ダブルショルダー”です。

もう一つ特筆すべき点が。

「革」が変わるという事はそれ即ち

「色」が変わるという事。

当然と言えば当然、

革はそれぞれに唯一の個性を秘めた素材です。

皮から革へ鞣す工程の差異はもちろん、

原皮の種類や原産国、使用する部位、

遡ればその動物の生き方によっても

革は異なる成長を遂げていきます。

それを「製品染め」するという事。

今までと全く同じ染色レシピであっても

今までとは全く異なるニュアンスに染まる。

それが革であり、ISTINTOの表現です。 

フルベジタブルタンニン鞣しのダブルショルダー。

今回はこの素材をメインに据えて

10型ほどバッグやお財布などお見せできるかと。

もちろん前回好評だったベイビーカーフや

美しい経年変化を遂げるピット槽鞣しのカウベンズなど

各種ISTINTOレザーが揃い踏み。

全20型以上の作品群が

ここ自由が丘に集う予定です。

次のkakimono(直前に更新予定)では

受注会に並ぶ全モデルの形や価格など

詳細を綴っていきたいと思いますので

そちらも楽しみにしていてください。

 

新たな輝きを見せるISTINTO。

自然の営みによって生まれる皮革という名の奇跡。

その活き生きとした存在感を

心ゆくまでご堪能ください。

 

 

次のkakimono:作品詳細について

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