某展 −古布を紡ぐ−
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▽期間▽
2023.12.23〜2024.1.14
休業日:12/31-1/4 , 1/11(木)
▽在廊日▽
12/23(土),24(日)
1/6(土),14(日)
−某(それがし・なにがし・ぼう)−
『特定の対象が不明の時、あるいは名を表さずに特定の人・時・所等を指す時に用いる語。あるもの。さる人。不定代名詞。』
2023年、最後の刺客となるのは
一期一会を楽しむ衣服の展。
都内では初となる
“某(それがし)”のオーダーエキシビジョンを開催致します。
様々な古布を用いた一点物の『即売品』と
好みの古布と型を選んでオーダーできる『受注品』
加えて、mienisiならではのご提案として
天然染色による『後染め』を
今展ではお楽しみいただけます。
謎のベールに包まれた作り手、某。
その正体は
日本の古い服や素材に精通するK氏と
それらを独自の手法で衣に仕立てるK氏
二人のKによって生まれた
オールハンドメイドデザイナーです。
主に1920〜60年代頃の“素材”を用いて
布地毎に変則的なパターンメイキングを行ない
都度、継ぎ接いでゆく某のモノづくりは
まるで即興LIVEのような臨場感に溢れています。
それもそのはず、古い生地やパーツの状態は
フタを開けるまで誰にも分からない未知の領域。
一つひとつの素材と対話しながら最善を見極め
一針、また一針と通してゆく。
多分なハンドワークで仕立てられる彼らの衣服には
再現性を顧みないからこそ生まれてくる
刹那的な美しさが宿ります。
少し、見ていきましょう。
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状態の異なる古布や端切れを
単に「縫い合わせる」のではなく
新たな命として「再構築」しているのが
写真だけでも伝わるかと思います。
意図的な“ディテール”と仕立ての“必然”が
曖昧に混じり合い、一つの衣に。
いやしかし見て分かる通り
古布を用いてこのディテールの多さ。
普通じゃないですよ。
「同じものを何度も作る方が苦痛です」
そう話す作り手のK氏が選んだのは
個体差“しかない”素材を用いた
一歩間違えれば死地に飛び込むようなモノづくり。
そこに100%の正解は無く
限られたモノと時間の狭間で
常に“最善”を追求する。
そんな道を進み続ける精神的タフさと
状況を即興的に打開していくセンスと
時たま手仕事に現れる感情のエッセンス。
それらが古布と相まみえる事で初めて
某たらしめる衣服へと昇華されています。
さて、某のご紹介は今後現物と共にお伝えしていくとして…
次に今展の「染め」について。
一着のジャケットに焦点を当ててみましょう。
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こちらはもう一人のK氏が収集した
40’s頃のジャパンヴィンテージ。
大人用のジャケットを
学生服に仕立て直したような作りで
歪な衿形状や肩ダーツ、ボタン数、裾の切り替えなど
随所に手を加えられた痕跡が見受けられます。
この個体にインスパイヤされた
某の一着がこちら。
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細部のサイズバランスにはもちろん手を加えながら
先ほど上記したディテールが
余す事なく活かされているのが分かります。
やはり特徴的な衿形状が目を惹く
ブルゾン感覚の「Rpジャケット」。
男性だけでなく女性にもオススメな一着です。
表地にはあえて比較的近代の生地を当てながら
裏地に古布を使用しています。
そしてこれが、今展ではこうなります。
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mienisiといえばな天然染色で
白い刺し子織り生地をフェードアウト。
刺し子の凸凹が墨染めに陰影を与え
よりハンドダイらしい風合いを味わえるかと思います。
今回の某展では
古い生地と相性の良い「2つの染め」を
mienisiからご提案致します。
(素材によってお選びいただけない場合がございます)
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随所に入る切り替えや
特徴的な手縫いのボタンホールなど
細部まで見れば見る程、本当に手が込んでいます。
もちろんボタンなどのパーツにも
全て古いモノを使用しています。
特別な一着が集う、一期一会の作品展。
この機会をぜひお見逃しなく。
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私が某と出逢ったのは
空がじめつき始めたとある日でした。
ふらりと店に入ってきた
背の高い一人の男性。
その時着ていた古布を継ぎ接いだような衣服が気になり
声をかけた事が始まりでした。
古布を使った作品というのは
すでにごまんと存在していて
正直なところその部分に特別な想いはありません。
デザイナーとは新しい「何か」の創造主。
特別な生地だから、一点物だから…
そんな安易な言葉に釣られない
“クリエーション”を行なうひとを指す言葉だと
私は考えています。
某の衣服から垣間見えるのは
随所のディテールが示す独自の解釈と
それをカタチに表現できる確かな技術。
そして何よりも、手間を惜しまない姿勢です。
古布の表情やテクスチャーだけではない
確かな“創造性”を感じたからこそ
今回の企画展をオファーさせていただきました。
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“某”の始まりは
千葉の柏にある『Kaf ta Raf』という店。
もちろん、お邪魔してきましたよ。
「日本の古い服を日本人が知らない、そんな現状がもどかしい」
そう話す蒐集家のK氏が魅せるのは
稀有な生地や衣の数々。
某のクリエイションの源もそこにあります。
「良いモノを表舞台に立たせたかった」
リサイクルやSDGsといったニュアンスとは全く異なる
並々ならぬ衣服への想いが
その言葉には宿っていました。
日本の古き良きを扱う店内。
機会があればぜひ柏にも足を運んでみてください。
12月はいつも素敵な出逢いに恵まれます。
ここ自由が丘で
今年はどんな化学反応が起こるのか、起こせるのか。
わくわくどきどき
皆様をお待ちしております。