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2月企画展 “Hola MALEZA Hatmakers”

▽期間▽
2024/2/10〜3/3
(木曜定休)

▽デザイナー在廊日▽
2/10(土) ※予定

2月企画展は

太陽に祝福された国の手仕事。

日本初上陸となる

made in Spainの美しい帽子達をお披露目です。

“MALEZA Hatmakers”

スペインの首都マドリードにAtelierを構え

プリミティブでコンテンポラリーな帽子を作る

スペイン人とオランダ人のデュオ。

100年以上前の道具を使用し

古典的製法を忠実に再現しながらも、

時として非常にユニークな技法を織り混ぜる

オーダーメイドハットメーカー。

今回はサイズ別にオーダーできる「既製ライン」と

mienisiの為だけにご制作いただいた「一点物」

そのどちらもを取り揃えたスペシャルエキシビジョンとなります。

1点1点、全てハンドメイドで制作される帽子達。

彼らは自らの制作を

“新しい伝統への飽くなき探求と創造”と表現します。

素材に用いるのは

南フランスの小さな工場で完全飼育・生産されている

高級メリノウールフェルトを始め、

蚤の市で見つけたヴィンテージウールや毛皮

更にはデッドストックの資材まで

その選定は多岐にわたります。

仕立ての良さはもちろんのこと

特徴的なのが“色”。

彼らの作品を最初に見た時も

まず気になったのはそれでした。

なんとなく予感があり

彼らから直接話を聞いていくと

その正体はやはり「天然染色」。

胡桃、茜、柘榴、そして柿渋など

古くから染料に用いられてきた自然の恵みを

独自のレシピで調合しています。

帽子への天然染色を

狂いなく手掛けられるようになるまで

彼らは4年以上の月日を費やしたと話します。

 

様々な帽子を手がける“MALEZA Hatmakers”。

今回、mienisiにも約30個の帽子が届く予定ですが

その作品イメージを事前に送ってくれました。

写真数が多量の為

全てのモデルをご紹介する事は叶いませんが

せっかくなので掻い摘んで見ていきましょう。

こちらはメリノウールフェルトのシリーズ。

その多くはソフトな質感で

ツバやフォルムは「不定形」です。

とても上品な素材と色を

あえてラフなフォルムに仕上げる事で

日常からよそ行きまで、様々なシーンに呼応します。

着用者の個性とアイデアによって

如何様にも様変わりするこちらのシリーズは

各モデル、色やサイズ別でオーダーにて承ります。

帽子の裏にはレザーバンドが当てられています。

使用するレザーは、スペイン北部に位置する

100年以上の歴史を持つタンナーが生み出した

ベジタブルタンニン鞣しの牛革。

耐久性と耐摩耗性に優れ

帽子と共に美しい経年変化を魅せてくれます。

縫い付けも非常に手が込んでいて

フランス産の亜麻で作られた高級ケーブルリネン糸を

サドルステッチの技法を用いて

一針一針、手縫いで。

特殊な撚り糸に天然の蜜蝋を施し

被り口の輪郭と強度を手助けします。

レザーバンドは帽子によって異なり

ナチュラルなヌメ革のバンドや

滑らかな肌当たりのスエードバンドなど、様々です。

当日はぜひ帽子の裏側もチェックしてみてください。

ニットキャップを連想させる

ミニマルなフォルムの“ERRE”。

このウールフェルトは少し特殊で

上記のメリノウールではなく

20世紀前半のヨーロッパヴィンテージの帽子を

“再生”して生み出されています。

「Erre」とはスペイン語で 「R」の意。

ヴィンテージ特有の傷や生地焼けを

染色やパッチワークによって補完し

ただ捨てられる運命にあったものを

新しい命として蘇らせたプロダクト。

まるで刺し子のようなハンドステッチが

モノを大切にする日本の美意識をも連想させます。

これらは全て一点物の即売品となります。

こちらは天然染色の色味が際立つ

大麻素材の“ERRE”。

100年以上の歴史を有する英国製粉業者の

やはり「捨てられてしまう資材」に着目し

生み出されたシリーズです。

元々が「生地」ではなく「資材」なので

帽子に適した状態にする「下準備」にも

とても時間がかかると彼らは話します。

徹底的に洗いをかけて揉み解し

天日に晒してからじっくりと磨き上げて

特注の木製ブロックで叩きながら成形し

自家製の薬剤を塗布して固め

最後はレザーバンドを手縫いしています。

資材ならではの表情と

天然染色の豊かな色味を定着できるよう

かなりの試行錯誤を繰り返したそうです。

この“ERRE Hemp”は色&サイズオーダーにて承ります。

最後にご紹介するのは

“Carbon”コレクション。

これらもヴィンテージウールや毛皮などを用いて作られた一点物です。

成形後のハットに特殊な処理を加える事で

アンティークレザーや石や錆鉄を彷彿させる

独特の質感を生み出しています。

内側には、ブラックレザーのスウェットバンドと

天然染めの亜麻の裏地が施されています。

圧巻の存在感で

今展のメインとなるであろう作品群です。

製品写真と共に送られてきた

制作風景や着用の美しいイメージの数々は

特に私から何かを指示した訳ではありません。

彼ら自身が意識を巡らせて

手を動かして作業する“以外”の部分にまで

クラフトマンシップを貫いている、という事。

また、気づきましたでしょうか。

写真でデザイナーが着用している

「泥染め」の布や

「EVARIST BERTRAN」のブーツ。

もちろん彼らの私物です。

そこはかとなく感じていた

mienisiとMALEZAに共通する美意識が

この写真を見て確信に変わりました。

そして、どうやら彼らも同じ感情を

mienisiのInstagramから読み取っていたようです。

『こんにちはミエニシ!沢山の愛しい宝物に溢れた素敵な空間ですね。ぜひ一緒に何かやりませんか?』

とある日に届いた一通のDM。

それは、いつもInstagramで様子を伺っていた

スペインのハットメーカーからだった。

聞けば彼等はmienisiで取り扱うシューメイカー

“EVARIST BERTRAN”の靴を愛用しているという。

『あなたの感性と空間が、私達のスタイルと哲学に最も一致していると考えているため、ミエニシに参加できることは非常に特別な意味があります。』

直球かつ熱烈なラブレターを受け取ったその日から

拙い英語で何度も言葉を交わし合い

待ち焦がれていたその日がついにやってくる。

スペイン・マドリードから届く朱色の風は

大胆かつ洗練された新しさを感じさせつつも

何処か懐かしさのある温かい表情を醸し出している。

好きな色、身に着けるモノ、クラフトマンシップ。

そのどれもが日本の裏側に住む他人事とは思えず

遠い昔、すでに彼らとは出逢っていたのかもしれないと

果てしない空想まで湧いてくる。

ここ自由が丘で彼らの作品を展示できる事を誇りに思います。

企画展初日はデザイナー自ら

わざわざスペインを発ってmienisiに在廊してくれます。

帽子の事やサイズ選びやスペインの話

親身になってなんでも教えてくれるはず。

ぜひ積極的に話しかけてみてください。

刺激的な会になりそうな予感。

みなさま、どうぞよしなに。 

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