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YUTA MATSUOKA Order Exhibition in 2024 −Ⅰ−

▽期間▽
2024.11.2〜10(無休)

▽デザイナー&スタッフ在廊日▽
11/2(土)
11/3(日)

秋冬の纏いと季節が交わり始める11月

mienisiに特別な光景をもたらすのは

手仕事とユーモラスが滲む衣達

 

独自の世界観を衣服に表現する

“YUTA MATSUOKA(ユウタマツオカ)”

彼が生み出す様々な物語を

mienisiというフィルターを通してご提案する

exclusiveなオーダーエキシビション。

今展の為に拵えた複数の生地と染め

多数のarchivesや限定即売品を

この企画展にて一斉にお披露目させていただきます。

 

今回のkakimonoは前後編

まずは改めましてなブランド紹介と

企画展の全貌をご紹介させていただきます。

−YUTA MATSUOKA−

名古屋学芸大学を卒業後

すぐに自身の名を冠したブランドを立ち上げ

2015SSからコレクション形式での展示会をスタート。

言わずと知れた毛織物の名産地

「尾州」の目と鼻の先にアトリエを構え

生地製作からデザイン、パターン、サンプル縫製、製品仕上げと

アトリエで一貫して完結させる独自のスタイルを

今も昔も変わらず続けています。

 

実は今季FW24は

コレクション発表から20シーズンという節目。

それを飾る本企画展には

“YUTA MATSUOKAをより世に広めたい”

そんな私個人の想いも強くあります。

年齢も近いデザイナーの佑太さんとは

今後も末永く、お互いに切磋琢磨していきたい存在。

YUTA MATSUOKAにとってもmienisiにとっても

これまで以上に踏み込んだ魅力を発揮できるような

そんなイベントを企画したつもりです。

作るモノには“ミステリアス”を秘めたいと話す

デザイナーの佑太さん。

実はYUTA MATSUOKAの特徴として

「何年代の⚪︎⚪︎をモチーフにした形」

というような

明確な「標」をあえて持たない事が挙げられます。

格好付けながらもどこか気の抜けた

掴みどころの無いユニークさは

デザイナーが空想する物語から生まれるモノ。

そしてそれを

素材から拘り抜いた唯一無二のファブリックと

随所に施される確かな手仕事によって

現代に体現させています。

また、佑太さんは

他メーカーでの下積みを

ほとんど経験せずに

自身のブランドをスタートしています。

自らの衝動の赴くまま

世間一般的なルートを蹴って

卒業後すぐに独立という大海原に。

聞こえはいいかもしれませんが

それは地図を持たずに航海を行なうようなもの。

立ち上げ当初から今に至るまで

幾重にも重なる困難を

自らの経験と判断で向き合ってきたそうです。

それゆえに

服作りの「技」だけでなく「背景」に至るまで

「独自の道」を歩む結果となった。

だからこそ彼が作る衣服には

“彼らしさ”としか表現できない

ユーモアや個性が潜んでいると

私は感じています。

佑太さんはモノづくりを行なう上で

一つ大切にしてる事があると言います。

それは

“作りたい物を素直に作る事”

例えば、今季FW24のコレクション

写真にある赤い刺繍のような跡は

絡み織の生地を細かく裁断してテープ状にし

「ニードルパンチ」という技法で接結されています。

もちろん、それ自体も非常に手間がかかるのですが

今回のアイテムの場合

「総裏仕様」にも関わらず上記を付与しています。

それはつまり

「縫製後の加工(=製品加工)」ではなく

「裁断後の生地に加工」しているという事。

もし製品加工であれば

工場で生地を裁断&縫製→アトリエで仕上げ、と

スムーズな流れで生産を進められますが

今回のような生地加工の場合

生地を裁断→アトリエで加工→再度工場で縫製→アトリエで仕上げ、と

より多くの工程が必要になる事が分かります。

効率だけを考えれば

製品仕様や型を変えたり

ニードルパンチの箇所を変えるなど

いくらでも別案はあったはず。

しかし

自分自身が「作りたい」と思った

最初の完成図から決してぶらさず

後者を迷いなく選ぶのが

佑太さんというデザイナー。

つまり衣服のデザインだけでなく

そこで都度生まれる問題

“どうしたら具現化できるのか”

という解決策までを

考えながら乗り越えていく訳です。

また上記の

SS24で発表されたジャケットのように

全てを一からアトリエで制作する作品も存在します。

特殊な仕様のまま量産に移る方法として

一つの究極の在り方。

自らが最初に思い描いた光景を

まさにどのような手を使ってでも

必ず実現していきます。

YUTA MATSUOKAを代表する

ハンドスタンプのディテールも

加減を一つ一つ確かめながら

アトリエで丁寧に施されています。

また得意とするプリント地も

様々なモチーフは取り入れながらも

図案を一から構成する必要のある

これまた大変な作業です。

そしてこれらの要素に加えて

YUTA MATSUOKAのデザインやパターンには

箇条書きでは表せない

複雑な“ニュアンス”が数多く存在します。

だからこそ佑太さんは

生産者とのコミュニケーションを

非常に大切にしています。

服作りの一大産地である

「尾州」の程近くにアトリエを構えている理由も

機屋や縫製工場にすぐさま駆けつけられるが故。

対話の中で意図や想いをしっかりと伝え

生み出されるモノに忠実に反映させているのです。

“良い服”とは

生産に関わる全員が同じベクトルを向いて

制作に取り組んでいるモノだと話す佑太さん。

空想をデザインに落とし込むセンス

変則的な衣服を仕立てる技術

人と人との関係性を大切にする人間力

それらを須く兼ね備えた

まさに“デザイナー”という名に相応しい人です。

機械的に生産するのではなく

自身の目と手をきちんと通して

YUTA MATSUOKAを“人”として仕上げる。

行なっている事は非常に職人的でも

「ハンドメイド」という言葉には頼らず

デザインとして衣服に表現するその姿勢を

私はとてもクールだなと感じます。

そんなYUTA MATSUOKAを交えた今展

実はmienisiとしても

一つのテーマを設けています。

それは

「染色の新たな可能性を探る」

という事。

 

皆様ご存知の通り

mienisiではopen当初から

多種多様な染色と作品を扱っています。

その中でも毎年行なっている

「染め直し企画展」は

有り難い事に回を重ねる度に

素敵な御縁に恵まれる事が増えてきました。

古来から続くその地ならではの色や

新進気鋭の染め屋による新しい彩など

それぞれの特徴が際立つ天然染色。

それによって

衣服に新たな命が吹き込まれる瞬間に

何度も立ち会ってきました。

その中でふと、感じたのです。

染め直しによって

「過去の作品達を再び表舞台に立たせられないか」

と。

詳細は次回のkakimonoに綴りますが

今回の企画展では

岐阜にあるYUTA MATSUOKAのアトリエ兼ショップ

“ATELIER OPHERIA”にて

後染めに適した作品を直接選定し

「染め直しアーカイブ作品」を多数ご用意しました。

今回の企みには

デザイナーからも染め屋からも快い返事をいただき

更にmienisiでも染色を進めながら

去年の暮れから今展に向けて

少しずつ“染め貯めて”きました。

アーカイブだけでなく

今展の為に用意した別注品も

やはり「過去の生地」から選定していきました。

写真は染色テストに使用した生地パッチ。

過去コレクションで使用された生地の山を掘り起こし

トライアンドエラーで染色を繰り返した事が

今展の作品に繋がっています。

準備にここまで手をかけた企画展は初めてです。

あぁ、早く皆様にお披露目したい。

YUTA MATSUOKAという

独自の世界観を持つブランドと

mienisiらしい染色の在り方を

探りながらご提案させていただく今展。

いよいよ幕開けが近づいてまいりました。

現在「Ⅱ」を絶賛執筆中

近日中に公開致しますので

どうぞお楽しみに。

 

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