2023 春の染め直し −濃柿渋染め−
前回の話:京都西陣・染一平について
“2023 春の染め直し −濃柿渋染め−”
−受付期間−
受付:4.15〜5.14
返却:7〜8月頃
−染色方法−
“染一平/京都西陣”
濃柿渋染め
−価格(税抜)−
①mienisiショッパー
大きさに関わらず一枚3000円
②衣類・バッグ・服飾小物
〜300g:7,000円
301〜400g:8,000円
401〜500g:9,000円
501〜600g:10,000円
601〜700g:11,000円
701〜800g:12,000円
801〜900g:13,500円
901〜1000g:15,000円
1001g〜:100g毎に+2,000円
※一点毎の金額となります。
※ラグ等の大きな物はお受けできかねます。
“参考例”
シャツ・ブラウス:200〜400g程度
ワンピース・ボトムス:400〜800g程度
アウター:800〜1100g程度
※形や素材によって異なります。
−染色可能素材−
綿、麻、竹、和紙、レーヨン等
※シルク・ウール素材はご相談ください。
《染め直しの流れ》
※企画展中は当店購入品以外のお洋服もお引き受け致します。
−店頭受付
- 染め直しご希望の衣服を店頭までお持ち込みください。
- 状態を確認後、染め直し代金を算出します。
その場でお支払いをお願い致します。(現金決済)
※状態によってお受けできない場合がございます。 - 染め直し完了後、随時ご連絡致します。
−WEB受付
- HPのcontact、またはInstagramよりご連絡ください。
- 衣服の詳細をお伺いした後、お品物をmienisiへお送りください。
- お品物を確認して正確な染め直し代金や留意点などをご連絡致します。
- 染め直し代金をお支払いいただきます。(銀行振込or代金引換)
- 染め直し完了後、お品物をご返送致します。
※誠に恐れ入りますが往復分の送料はお客様ご負担となります。
《注意事項》
- 予め洗濯等を行なった状態でお持ち込みください(染めムラの原因となります)。
- 生地に“縮み”が起こります(1〜2サイズ程度小さくなります)。
- 天然染色のため、均一に染まらず色むらが起こります。
- ご着用を重ねると“色落ち”や“アタり”が起こります。
- 染め上がりは硬くなりますが
着込む事で徐々に柔らかく経年変化します。 - 生地が硬くなる為、直後の修繕が困難となります。
ボタンが緩んでいるものや
大きなほつれや穴などのダメージがあるものは
予め修繕した状態でお持ちください。 - 染め直し後のご返金・ご返品等はお受けできかねます。
その他、染め直しについてはこちらもご覧くださいませ。
今回で4度目となる染め直し企画。
ずっと思い描いていた染め色
「柿渋染め」のご提案です。
お手元にある大切な衣服を
これからも末永くご愛用いただけるよう
心を込めてお引き受けいたします。
また、いつもお世話になっている皆様に向けて
今回初めてmienisiショッパーの染め直しを特別枠で設けました。
柿渋染めは衣服だけでなくバッグ等小物との相性も抜群です。
併せてお楽しみください。
引き受けて下さるのはもちろん
京都西陣の染め師・染一平。
彼については前回のkakimonoにて。
一口に柿渋染めと言っても
その染め上がりは様々です。
今回はただの柿渋ではなく“濃柿渋”
染一平独自の染料と手法で3度重ね染めし
深みのある茶褐色に仕上げていただきます。
![](https://mienisi.net/wp-content/uploads/2023/03/8A92D8B1-3978-40EC-A094-D18A76550CCD-768x1024.jpeg)
さて、まずは柿渋染めについて軽くおさらいを。
mienisiの皆様や天然染色がお好きな方には
もはや馴染み深い、或いは憧れの染め色かと思いますが
実はその起源は非常に古く、
平安時代にはすでに建具等に使用されていたと言われています。
そもそも「柿」は日本にとても馴染み深い果実で
なんと弥生時代の遺跡から出土されているそうです。
染料に使用されるのは
その名の通り「柿」。
しかし染一平で使用する“信濃柿”は
いわゆる食用の柿とは少し異なり、
別名・琉球豆柿とも呼ばれる
直径1〜2cmの小さな柿です。
中国や日本で古くから栽培されてきた信濃柿は
熟すと青→黄→茶と実の色が変わっていきますが
染料として使用するのは青くて渋い未熟な状態。
青い実を粉砕・圧搾し
冷暗所で何年もかけて熟成、
そして濃茶色の染色液へと変貌を遂げます。
柿渋染め最大の特徴である
日光で発色を促す行為。
その理由は柿の渋みの元である
「カキタンニン」と呼ばれる成分が
乾燥(=酸化)によって発色する為です。
そう、実は必ずしも日光に当てる必要はなく
“乾燥=酸化”させる事が重要なのですが、
日光=紫外線に当てる事でその効果をより促し
綺麗な茶褐色に変えていく、、、という原理です。
柿渋染めには防水・防腐・防虫といった効果や
染地に被膜を生み硬化させる作用、
そして使い込む事で風合いが増していく
経年変化の美しさなどが特徴的です。
古くは漁網、酒袋、団扇、和傘、建具など
ありとあらゆる日用品に用いられてきました。
色味の美しさはもちろん
実用性が伴っていたからこそ
先人達の時代から脈々と受け継がれてきた技法なのです。
・・・前置きはこのぐらいにして。
ここからが本題、染め見本のご紹介です。
![](https://mienisi.net/wp-content/uploads/2023/03/0F1E9928-F163-4079-B4E2-91FA53BBAD15-768x1024.jpeg)
![](https://mienisi.net/wp-content/uploads/2023/03/F5C7B5F4-755C-425A-A4FB-14B006D54ED1-768x1024.jpeg)
![](https://mienisi.net/wp-content/uploads/2023/03/7D8A6CF8-B310-4FE6-8897-15DEBB1700DE-768x1024.jpeg)
・ジャケット
−素材−
表地:コットン×リネン
裏地:コットン
−元々の色味−
表地:ネイビー
裏地:生成り
−元々の状態−
スレやアタリなどがある状態
−縮み−
1サイズ程度小さくなりました
こちらのジャケットは綿麻のバフクロスが使用されたもの。
見ての通りの雰囲気と
バッキバキに硬質した感じ、堪りません。
表地はネイビー、裏地は生成りのコットンだったため
元の色味の差が染色後の濃度に
大きく影響しているのが分かります。
つまり濃い柿渋色をご希望の場合は
白ではなく何らかの色味がある衣服の方が良い、という事◎
もちろん、麻混なのか綿100なのか、
どれぐらい着用されているのかなど
素材や状態の違いも
染まり方に影響を与えます。
ちなみにこちら、知る人ぞ知るKLASICA(クラシカ)のarchive。
・ジレベスト
−素材−
ウール×コットン
−元々の色味−
ライトグレー
−元々の状態−
目立った汚れ等無し
−縮み−
1サイズ程度小さくなりました
こちらはウール混のジレベスト。
ウール系は他素材よりも縮みやすい傾向がありますが
ジレの場合そもそもの面積が狭いためか
縮み方に大差はありませんでした。
また、糸が細番手のものや混紡のものは
ローゲージニットやウール100のものと比べて
比較的縮みにくい傾向にあります。
詳しくはお気軽にご相談ください。
こちらは先ほどのジャケット(ネイビー)よりも
元が薄い色(ライトグレー)だったため
やや大人びた風合いに。
また使用感が少なくアタリ等も出にくい綺麗な生地感だったので
色ムラも比較的抑えめです。
柿渋染めの色をより自然に取り入れたい方は
これぐらいの塩梅がちょうどよいかと思われます。
・トラウザーズ
−素材−
シルク×リネン
−元々の色味−
本体:杢調のグレー(墨染め済み)
当て布:生成りのコットン
−元々の状態−
着用感が強く、洗濯等何度も行なった状態
−縮み−
0.2〜3サイズ程度小さくなりました
経糸に黒いシルク、緯糸に薄灰のリネンを配した生地で
シルクはあまり染まらずリネンのみ濃くなっている様相が
写真でも判別できるかと思います。
経・横で異なる糸が交差された生地は
後染めによる雰囲気の増し方が非常に良く
個人的におすすめです。
また腰裏に当てられた生地が生成りだったので
その色味の差もご注目ください。
数年間の着用と洗濯、そして染め直しと
3着の中で最も使用&ケアしていた一着だったので
縮みも僅かな程度で済みました。
ちなみにこちらもKLASICA archive。
やはり素材に拘っている衣服は
染め直す事で尚美しく仕上がります。
今回の柿渋染めは衣服以外に
バッグなどの服飾小物も非常におすすめですので
ぜひご検討くださいませ。
※ただしレザーは染まりませんのでご注意を…
![](https://mienisi.net/wp-content/uploads/2023/03/164C2715-CF2A-4940-850D-EA7D9F1A8CA8-768x1024.jpeg)
最後に柿渋染め最大の注意事項を。
これは感覚的な話ですが、
数ある染色方法の中でも
縮みやすい染色であると言って良いかと思います。
今回ご依頼いただく皆様におかれましては
いつも以上にサイズ感の変動にはご注意ください。
上記写真の実物はもちろん店頭にてご用意していますので
ぜひ直接お手に取っていただきたく思います。
京都西陣・染一平が誇る
類稀な濃柿渋染め。
その力強い色と風合いよって
まさしくモノは“生まれ変わる”はずです。
皆様の衣服がどうか末永く輝きますように。