tsugái eyewear − 眼鏡×工芸×化学 −
▽期間▽
5/30〜6/7
▽作家在廊日▽
5/30(土), 5/31(日), 6/1(月)
▽お渡し予定▽
2026年10〜11月頃
※形・素材・数量・その他オーダー内容により納期は前後します
▽企画展概要▽
・既製モデルの受注オーダー
・既製モデルのセミオーダー(事前にサンプル制作有)
・完全フルオーダー(事前にサンプル制作有)
※フルオーダーは作家在廊日のみ、事前予約可(1枠1h)
▽フレーム価格(税抜)▽
①セル:¥110,000〜
②バッファローホーン:¥160,000〜
③メタル(主に銀):¥220,000〜
④コンビネーション:応相談
“フルオーダーについて”
・ご来店前に、ご希望のデザインやフォルムのイメージをご整理の上お越しください。
限られた時間内でのご提案となりますため、オーダーを円滑に進めるべくご協力をお願い申し上げます。
※枠以外の細かいパーツ仕様につきましては、基本的には作家が最善のモノを見立ててご提案致します。
・企画展にてオーダー後、2〜3週間を目安にサンプルをお送りし、最終調整を行ないます。
「最終調整後の再修正」はお受け致しかねますので予めご了承ください。
なお、メタルフレームをオーダーいただいた場合も、サンプルは「セルフレーム」でのご用意となります。
・tsugái eyewearにおける眼鏡制作は、従来の眼鏡産業の工程とは大きく異なります。
特にメタルフレームは、主に鍛金・彫金の技法を用いて完全手作業で制作されており
サイズ感(約2mm前後)や色味、質感にはサンプルとの微差が生じます。
一点ごとに異なる“揺らぎ”も含め、作品の個性としてお楽しみください。
・作家在廊日は大変混み合う可能性がこざいます。
フルオーダーをご希望の方は事前のご予約をおすすめしております。
当店メールアドレスまたはInstagramのDMからお申し込みください。
《御予約枠》
日:5/30(土),5/31(日),6/1(月)
時:13:00~14:00 / 15:00~16:00 / 17:00~18:00
《お問い合わせ先》
✉︎ mienisi3en@gmail.com
土〜水:13-19時 / 金:15-21時
▶︎ “tsugái eyewear”について:−Ⅰ−(本記事)
▶︎ 企画展と3つの別注眼鏡について:−Ⅱ−
ついにこの瞬間を迎えます。
眼鏡業界に彗星の如く現れた
“tsugái eyewear”
誰もが発想すらしなかった独自の技法で生み出される
世界で唯一のeyewear達を
想い思いにお選びいただくスペシャルオーダーエキシビジョン
ぜひ、この貴重な機会をお愉しみください。
『眼鏡×工芸×化学』
眼鏡製造における確かな専門技術と
日本ならではの伝統工芸技法
二つの異なる世界の理を
化学的知見によって“番ふ(ツガフ)”
作り手である北村氏は
その全てを自身の「手」で完結させる
真の“アルチザン”です。
唯一無二、と
ここまではっきり言い切れる作品達には
そう簡単に出会えないはず。
久しぶりに心の底から衝撃を受けた作品達とモノづくり…
その魅力、順を追って綴ってまいります。

tsugái eyewearの“異質さ”
それはこれから何度も登場する
“専門用語の多さ”からも
読み取っていただけるのではないかと。
とにかく、やる事なす事が只者ではない
tsugái eyewearと作り手の北村さん。
その独自の技法や、歴史、それに至る想い
そして今展に向けて別注した
3つの“mienisiモデル”について
その「全て」をご紹介しようと書き綴った結果…
最終的にこの難解なkakimonoが誕生しました。
(脱落者が出ない事を願います…)
本記事では
tsugái eyewear独自の技法と
作り手である北村さんの歴史について
紐解いていきたいと思います。
企画展の詳細については
後半のkakimonoをご覧ください。

作る物と作る人は見事に比例していて
例に漏れず、異色の経歴の持ち主である北村さん。
まず、大学では応用化学科に進学
元々は「花火職人」を目指していた、と
早速興味深い言葉がさらりと飛び出しました。
しかし大学修学中に
ファッションやアイウェアへの熱がどんどん高まり
最終的には「眼鏡職人」になる事を決めた、との事。
大学在学中はそれを目指し
眼鏡屋でアルバイト経験を積みながら
大学後期に「高分子化学=プラスチックの研究」を専攻。
その知見が、後に大いなる礎となります。

大学卒業後
自身のブランドを立ち上げる事を念頭に置きながら
北村さんは日本が誇る最高峰の眼鏡産地
「鯖江」の職人としての道に進みます。
が、しかし、
その最中で中国での眼鏡製造現場を見た時
愕然としたそうです。
『この価格でこのクオリティを生み出せるのか』
と。
眼鏡とは、言い換えれば工業製品の極地。
地肌に直接触れるという性質上
様々な機械と技術を駆使して
緻密に計算された各々のパーツを
正確かつ効率的に組み立てる必要があります。
特に日本の眼鏡製造の場合は
「個性」よりも製品としての「正確性」を
問われる場合が多いように感じます。
昨今、業界では3Dプリンターや新素材などを活用し
新たな製造方法に注力する事が主流となりつつあるそうです。
そんな中で
規模、技術、価格、スピード
様々な面で「差」がある事を
他国の現状から知った北村さん
『日本でこのまま働くだけで良いのか』
と、思い至ります。

また、その当時から
いわゆる「アルチザンファッション」が好きだったという北村さんは
こと眼鏡に関してそれに相応しい存在
真正面から“突き抜ける”ようなブランドが
世にあまり無い事に気づきます。
工業的に広げるアイウェアブランドの
いわゆる「デザイナー」としての立ち位置
ではなく、
眼鏡一つ一つのパーツから付属品に至る迄
全てのプロセスを自身の手によって完結させる
「職人」としての道を極める者。
そのためには
現状とは全く異なる“環境”が
必要だったのだと思います。
まさに転機となった中国での経験も踏まえ
手作業による少量生産
何よりも自身が見た事も聞いた事もないような
眼鏡の真髄を学ぶべく
北村さんは一つの大きな決断をします。
“渡仏”です。

フランスの老舗眼鏡工房
「Dorillat(ドリラ)」
その門を叩いたきっかけは
『今まで見た事のない眼鏡作りをしていたから』
と、北村さん曰く。
Dorillatといえば
フランスを代表するビスポークアイウェアメーカーの一つ。
オーダーメイドでありながら
手仕事における有機的な質感やニュアンスを重視する
「ハンドメイド」なモノづくりが特徴です。
またデザインは元より
「顔」への印象やフィッティングを重視する文化があり
一癖も二癖もある顧客と真正面から対峙しながら
北村さんは様々な技術と知見を磨き続けていったそうです。
「正確さ」というよりも「個性」に重きを置くアイウェア
それを日本から遥か彼方のフランスで学ぶわけですから
その苦労は計り知れません。
気づけば7年という歳月が流れていました。

さて、いよいよ日本に戻り
自身の創作に力を費やす時
…かと、思いきや
北村さんは更なる“未知”へと飛び込みます。
“職人としての技術で差別化を図りたい”
産業として非常に発展している眼鏡業界
だからこそ北村さんは
自身が目指す理想と
それだけを作って生きていく為に
Dorillatで培った技術や技法だけでは
「至らない」と感じたのでしょう。
それは誰も想像しないような道
“京都伝統工芸”の丁稚奉公でした。

丁稚奉公とは
まるで修行僧のように泊まり込みで働く
現代の常識からは離れた場所にある形態です。
まさに伝統的なルートを真正面から入り
北村さんは様々な工芸技法を同時に修学します。
象嵌、金工、漆
多岐に渡る技法の習得と研鑽は
更に5年もの年月をかけて行なわれました。
フランスの名高いビスポークアイウェアから
京都伝統工芸の丁稚へ
未だかつて聞いた事の無いストーリーを経て
満を持して“tsugái eyewear”の物語はスタートする事となります。

『伝統工芸の技法を使ってはいるものの
いわゆる「伝統工芸」そのもののように
見られてはいけないという思いで作っています。
多くの伝統工芸は“アビリティ”で
類稀な技術は有していても
そのものだけでは「創造」に至らない。
僕はあくまで眼鏡職人なんです。』
日本では多くの場合
一つの技を極めることが職人としての美徳とされています。
しかし複数の技法を組み合わせて
世には無い新しい表現、作品を生み出す事は
現代において非常に重要な視点ではないかと
北村さんは考えます。
“眼鏡職人”としての立ち位置をブラさず
限りなく「作品」に近い「眼鏡」を創る。
この絶妙なバランス感覚と
様々な業を高度に融合させる技術が
tsugái eyewearを唯一無二の存在として確立しています。

さて、そんなtsugái eyewearが誇る
数々の技法について
綴らないわけにはいきませんね。
多数の専門用語が登場しますが
こちらも一つ一つ、見ていきましょう。



《布目象嵌》
別名「京象嵌」とも呼ばれる
京都に古くから存在する伝統工芸技法。
江戸時代の金工で盛んに発展し
主に日本刀の鍔や目貫などに用いられてきました。
この技法を一言で要約すると
「金属の表面に布の織り目のような細かい溝を掘り、別の金属を食い込ませる」
というもの。
北村さんはこれを用いて
写真にあるような金属パーツを制作するという
未だかつてない突飛な発想に至ります。
僅か1mmの幅に約10本
縦・横・斜と見事に手彫りし
そこへ「24金」を流し込み
かつ、炭を混ぜ込んだ「漆」を
塗り仕上げていきます。
この二つの異なる輝きが
独特の品性、彩度、そしてテクスチャーとして
tsugái eyewearを比類無きものへと昇華。
金工の緻密な細工と趣きを
見事eyewearとして成立させているのです。



《芯金》
セルフレームのテンプルを支える
内部に秘められた金属製の芯。
通常は工業的に生産されるこの部分を
やはり「布目象嵌」を用いて手作業で制作しています。
後半に登場する
mienisi別注のセルフレームの耳掛けには
太い24金のラインが走っています。
これはその「芯金」が
テンプルから透けて見えている仕様。
これにより
着用を重ねても金が剥がれない仕組みとなっています。

そう、つまりは
“漆を塗った金属部品をアセテートに閉じ込めている”
という事なのですが
この技法こそ
tsugái eyewearを無二の存在たらしめるもの。
一見、単純そうに見えるこの構造は
実は世界のどこにも存在しません。
では、どのようにしてこの技法が生まれたのか。
その秘密は北村さんが大学時代に培った
「高分子化学」の知見でした。
接着性を向上させる特殊な薬品の調合と添加
「眼鏡製造」と「伝統工芸技法」が
「化学」を架け橋に交わり合う。
まさに、tsugáiがtsugái足る所以の業、という訳です。


《丁番》
フロントとテンプルを繋ぐ金属部品
北村さんはこれを作品毎に
一つ一つロウ付けして手作りしています。
もちろん、表面には先ほどの「布目象嵌」
24金を埋め込みんで漆を焼き付けているため
特有のテクスチャーが付与されている事はもちろん
経年変化により下地の金が
徐々に見えてくる仕様となっています。

《鋲》
先ほど登場した「丁番」
それを固定しているのが
この数ミリ程度の小さな金属パーツ「鋲」です。
やはり打ち出しで一から制作されているこのパーツは
「煮色仕上げ」と呼ばれる金属工芸の技法を用いており
まさに金工芸を思わせる美しい色と風合いです。
特殊な溶剤で煮立てた鋲は
金属を“ダメにしてしまう錆”への防腐効果も備えています。



《付属品》
唯一無二のアイウェアを飾るのは
やはり、普通ではない付属品。
桐箱は「砥の粉・ロウ引き仕上げ」
これは桐ダンスの仕上げと同じ技法で
滑らかな手触りと上品な艶を纏わせています。
更にメガネ拭きは
奈良の鹿皮を「油なめし」と呼ばれる特殊技法で加工した
非常に柔らかくてしなやかな「セーム革」
超極細な繊維層を有しており
傷をつけずに油汚れや指紋を吸着・除去する能力が高く
カメラレンズ、時計、貴金属などの
最高級品クロスとして名高いもの。
クロスはぬるま湯と石鹸で手洗いも可能で
陰干しにて自然乾燥後、揉みほぐす事で元の柔らかさを取り戻します。

以上が
tsugái eyewearを形成する数々の技法
その中でも代表的な「業」となります。
それぞれが特異すぎる「点」としての伝統技法
それを見事「アイウェア」として番う北村さん
その果てしないモノづくりには畏怖すら覚えてきます。
そもそも、メガネにおける付属品や金属部品は
一般的には「型」が存在する機械生産品です。
それを自らの手で一つひとつ手作りするという
その前提すら、もはや何かがおかしいのです。

今回も色々と綴ってしまいましたが
今展に至る私の想いはシンプルです。
北村さんという人間だからこそ生まれた
tsugái eyewearの眼鏡達を
“ただただ、感じていただきたい”
冒頭で「ついに」と表記したのは
今展がmienisiとして
初のeyewear提案となる事にも繋がります。
私個人も毎日愛用している「眼鏡」
それを私達自身の手で「ついに」ご紹介できる事が
どれほど嬉しかった事か。
更にはそれが
これだけの壮大なストーリーを秘めた
北村さんのアイウェアからスタートさせていただける事
本当にご縁でしかなく、光栄に思います。
さて、物語は後半へ。
本題となる企画展概要と別注3モデルについて
是非次のkakimonoもご覧いただけますと幸いです。
次の話:−Ⅱ−

