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2022 秋冬の染め直し −泥−

泥染めファンの皆様お待たせ致しました。

Instagramにて先駆けて告知しておりましたが

昨年より少し早く、いよいよ開催です。

店頭では染色後のサンプル衣服も複数ご用意しておりますので

お気軽にご相談くださいませ。

それではまいりましょう。

“2022 冬の染め直し −泥−”

−受付期間−

受付:2022.10.14〜11.13
返却:同年12月末〜来年1月
 

−染色方法−

“金井工芸/奄美大島”
泥染め(濃泥茶・濃泥藍)

 

−染色可能素材−

綿、麻、竹、和紙、
レーヨン等の再生系化学繊維
※シルク・ウール混素材はご相談ください。

   

《染め直しの流れ》

−店頭受付

  1. 店頭へご希望の衣服をお持ち込みください。
  2. g数を計量して染め直し代金を算出します。
    その場でお支払いをお願い致します。(※現金決済のみ)
  3. 染め直し完了後、随時ご連絡致します。

−WEB受付

  1. HPのcontact、またはInstagramよりご連絡ください。
  2. 衣服の詳細をお伺いした後、お品物をmienisiへお送りください。
  3. お品物を確認して正確な染め直し代金や留意点などをご連絡致します。
  4. 染め直し代金をお支払いいただきます。(銀行振込or代金引換)
  5. 染め直し完了後、お品物をご返送致します。
    ※誠に恐れ入りますが往復分の送料はお客様ご負担となります。

《注意事項》

  • 予め洗濯等を行なった状態でお持ち込みください(染めムラの原因となります)。
  • 濃泥染めの場合、生地に“縮み”が起こります。
  • ご着用を重ねると“色落ち”が起こります。
  • 染め直し後のご返金・ご返品等はお受けできかねますのでご注意ください。

その他、染め直しについてはこちらもご覧くださいませ。

 

 

奄美大島・泥染めによる染め直し。

引き受けて下さる染め師・金井工芸様の事や

泥染めそのものについては去年のkakimonoをご参照くださいね。

 

まず初めにお伝えしたいのは

今回初のご提案となる“濃泥藍”について。

これは言葉よりもまず、写真を見ていただきましょう。

※シャツは染色後に何度か着用・洗濯済

もうほとんど黒と言っても良いぐらい

濃厚な色に染まる“濃泥藍”。

色の深度は“濃茶”以上です。

泥染め後に“藍”を重ね染めする事で生み出されるこの色。

以前、黒染めで書き綴ったように

青みを帯びた黒は光を吸収する性質があります。

青黒く光る濃泥藍もまた

より黒く“見えやすい”。

とは言ってもここまで濃い色を天然染料で表現するには

気が遠くなるような染め作業をこなさねばなりません。

自然界では稀有な濃色を

自然にあるものだけで染め上げるには

圧倒的に手間暇をかける他無い。

濃茶以上に贅沢で高貴な染め色なのです。

 

次に1着ずつ見ていきましょう。

・ボタンダウンシャツ

元々の色:白
素材:綿100%
※ボタンはペンキ加工されていたため薄く染まっています。

こちらのシャツは染色後に何度か着用・洗濯しているため

ワンピースと見比べると

全体の色味がやや薄まって藍が滲み出てきている事が分かるかと思います。

この経年変化こそ、泥染めにおける何よりもの魅力。

もちろん素敵な“アタり”も所々に現れます。

移りゆく色の変化をダイレクトにお楽しみください。

 

・ワンピース

元々の色:生成り
素材:麻100%

こちらは着用等を全く行なっていない状態です。

綿と比べて麻は

比較的染まりが良い傾向にあります。

特にこのワンピースは生機のような生地だったため

驚くほど深染まりしてくれました。

ボタンも見事な濃泥×藍の色に。

 

・大判ストール

元々の色:ダークグレー
素材:麻100%

お洋服だけでなくこんな物も染める事ができます。

元々濃いグレーだったストールも

濃泥藍によって濃厚な青黒に。

フリンジ一つひとつまでしっかりと染まりきっています。

身に着ける物としてはもちろん

お部屋のラグやカバーなども良いのでは。

 

こちらはお馴染みのmienisiショッパー。

素材は綿100%。

刺繍糸まで青黒く染めてくださいました。

 

金井工芸様で使用されている藍は

琉球藍で作る“泥藍”。

“泥染め”と混同してややこしいのですが

藍染めにおける一つの技法です。

タデ藍という本州の藍、いわゆる「本藍染め」とは

植物の成り立ちも染料の製法工程も異なります。

本藍染めでは「すくも」という藍の葉を乾燥・発酵させたものを使いますが

“泥藍”は琉球藍を発酵させて石灰を加え、

藍の成分を「沈殿」させて使用します。

故に“沈殿藍”と呼ばれる事も。

本藍の鮮やかな藍色と比べて

くすみを伴う鈍い色が特徴です。

つまり泥染めと掛け合わせた時の

色味の相性が非常に良い、という事。

2つの“泥”が重なり合う事で

他に無い深みのある色が生まれるのです。

地理的な近似性にも、何か意味があるのでしょう。

 

 

さて。

今回の泥染めは2色ご用意しています。

まさに泥染めらしい色味である

“濃泥茶”についてもおさらいしておきましょう。

奄美大島の伝統技法である“泥染め”。

テーチ木(車輪梅)と呼ばれる現地の植物を

1日かけて煮出して染料を作り、

まずは赤みのあるテーチ色に染色します。

そしてその後、

奄美大島に存在する太古の地層成分を含んだ

特有の泥田に漬ける事で「媒染」を果たして濃い灰茶に。

この工程をこれまた気が遠くなるほど繰り返す事で

金井工芸様でしか表現できない濃茶色に仕上げていきます。

 

写真の羽織りとサロペットは

どちらも綿100%の生地です。

手紡ぎ・手織りで生機のような生地だった羽織りと比べて

元々毛羽感のある古着のサロペットの方が

若干染まりが浅いように感じます。

しかしどちらも着用によってそれぞれの変化を遂げていくので

仕上がりについての細かい云々は

あまり考えない方が良いかもしれません。

言葉では表現しきれない“何か”を感じ取って下さった方だけが

この奥深い色味をお楽しみいただけるかと思います。

 

上記に載せた写真の実物は

もちろん店頭にてご用意しています。

他にない染色技法と、唯一無二の色。

それが衣服の風格をも変えるはずです。

皆様の衣服が末永く輝くものに成りますように。

 

前回の泥染めについてはこちら

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